(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
加地永理奈のコラム
群編成2週間後に免疫低下

コラム一覧に戻る

2025年10月22日

***********************************************************
尿でわかる!マイコトキシン検査のご案内
詳細は こちら をご覧ください。
***********************************************************
 
前回コラムでは、血液検査の総コレステロール値が、子牛の免疫力の指標となることをお話しました。

では、この総コレステロール値は具体的にどのようなタイミング下がりやすいのでしょうか。
その一つとして、群編成を実施してから2~3週間後というタイミングで顕著に総コレステロール値が下がることがわかっています。

これは、家畜市場から導入された約1か月齢の子牛を、1頭ずつのハッチで個体管理された群と5~6頭の群で管理された群に分け、その後の健康状態を比較したという実験データからです。
この結果では2~3週間後の血液検査結果に明瞭な差があり、群管理した子牛の「総コレステロール」「T細胞数」「ビタミンE」「ビタミンA」が低下していました。
「総コレステロール」は栄養状態の低下を示し、前回コラムの通り免疫力の低下も示唆します。
そして実際に、免疫を担う「T細胞数」が減少しており、肺炎の発生頭数も増加していました。
その背景には、ストレスに打ち勝つために消費される「ビタミンE」「ビタミンA」の低下があり、子牛にとって群編成が大きなストレスとなっていたことがわかります。

子牛の発育をストレスと免疫低下から守るために、群編成後は早急に予防的な対策をとることが重要です。
特に、ストレスによって消費されやすいビタミン剤の添加や、栄養状態のサポートとして不飽和脂肪酸の追加給与がおすすめです。
そして群編成直後だけでなく、数値が最も低下していた3週間後までの変化を継続的に観察し、子牛の群全体がこの難所を乗り越えたことを確認しましょう。

***********************************************************
新しい本が出ます!
今回の本は、農家さんが獣医さんと連携しながら、自分で治療できるように、病気の解説と治療の仕方、お薬の話、などを分かりやすくまとめたつもりです。

皮下注射や静脈注射、気管内注射などの仕方も解説しています。わかりやすいようにQRコードを付けてあるので、スマホをかざせば動画も見られますよ。

10月末発売予定。
お求めは日本畜産振興会(03-3379-3741)
もしくはシェパードまでお問い合わせください。
 
 
***********************************************************
今週の動画
高張食塩水と皮下補液で脱水改善

|