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松本大策のコラム
「骨軟症のお話 その1」

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2006年10月1日


 僕は、いろんな牧場を巡回して指導する際に、骨軟症にもとても注意を払います。骨軟症は、上の写真のような関節の変形を伴う重度なものだけではなく、じつは下の写真のように、なれた獣医師がよーく見ないと解らない様なタイプが多いのです。
 そしてどちらが経済的被害が多いかというと下の写真の、さほど目立たないタイプの方なのです。骨軟症の怖いところは、見た目はほとんど解らないのに、少しだけ食欲が低下すること、そして少しずつ増体が悪くなってしまうこと、です。出荷してみたら「あーあ、やっぱこんなもんか」という売り上げになってしまいます。
 骨軟症の原因は、カルシウムとリンのアンバランスやビタミンDの不足などが挙げられていますが、肥育牛の場合は飼料中のカルシウムとリンのバランスはもともとよくありません。しかしカルシウムとリンのバランスを改善したら骨軟症が出なくなる、というわけではありません。肥育牛の骨軟症の予防や治療にはビタミンD3と亜鉛製剤を併用してあげた方が、ずーっと効果が高いのです。
 治療のお話は次回に回すとして、みなさんの牧場には、中期(といっても肥育牧場でも16ヶ月齢くらいから見かけますし、子牛でも見つかりますが)から後期の牛さんで、食欲が低下していてビタミン(この場合はビタミンA剤ですね)を与えても改善が見られない子はいませんか?もしも獣医さんに見てもらって、他に異常が見られない場合は、骨軟症も疑ってみてはいかがでしょうか。
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