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加地永理奈のコラム
鼻腔粘膜型ワクチンのプログラム

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2024年5月29日

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鼻腔粘膜型ワクチン(TSV3)の接種プログラムについてお話します。

鼻腔粘膜型ワクチン(TSV3)は、①牛伝染性鼻気管炎ウイルス、②牛パラインフルエンザ3型ウイルス、③牛RSウイルスに対する生ワクチンです。投与後2週間程経つと、これらに対する抗体が体内に作られます。
さらに、抗体ができるまでの約2週間は、インターフェロンというものを放出させて、鼻腔内で局所の自然免疫力を高めてくれます。これにより、注射型のワクチンとは違った使い方が可能です。

ワクチン接種から抗体が出来上がるまでには時間がかかります。そのため、ワクチンの接種時期を決めるときの基本は、ワクチンで防ぎたい病気が多発する時期の3週間前に接種すること、ワクチン接種から3週間は移動や群編成のストレスをかけないことです。
しかし、鼻腔粘膜型ワクチン(TSV3)では自然免疫力アップも期待できるので、導入直後のストレスがかかってしまっている時期にも、出生直後から数週齢の子牛にも、急激に感染が広がってしまったときの緊急対策としても使用可能です。

鼻腔粘膜型ワクチン(TSV3)と、注射型の肺炎生ワクチンの併用も可能です。
併用といっても同時打ち、直後はNGです。鼻腔粘膜型ワクチン(TSV3)接種後は、惹起された自然免疫反応により効果が減弱してしまうため、最低でも2週間はあけて次のワクチンを接種しましょう。

鼻腔粘膜型ワクチン(TSV3)投与後2週間を過ぎると、①牛伝染性鼻気管炎ウイルス、②牛パラインフルエンザ3型ウイルス、③牛RSウイルスに対する抗体が体内に出来上がります。
このうち、牛RSウイルスに対する抗体は投与後2~3ヶ月で切れてしまうため、その前に注射型の肺炎生ワクチンを追加で接種すると、ブースター効果も見込めます。

ちなみに鼻腔粘膜型ワクチン(TSV3)は生ワクチンですが、妊娠牛にも投与可能です。
 
 
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