今回はちょっと粗飼料のお話をしましょう。今日のテーマのように、「言われたとおり腹作りをやってみたのに腹がちっとも起きないよ」という相談を受けることがあります。どういう時かというと、僕は良くヘイキューブを腹作り(肥育導入時の粗飼料多給時期のことです)に使ってもらうのですが、このときによく心配そうな声で相談されるのです。ヘイキューブやルーサンヘイで腹作りをすると、導入後1ヶ月くらいで牛さんのお腹が小さく巻き上がったようになります。でも、これは全く心配いりません。その後飼料を増やしていくと2ヶ月くらいで驚くほどお腹が大きくふくれてきます。こういうケースでは肉質はよくなる確率が高いように思います。逆にオーツヘイやスーダンヘイを用いて腹作りをする場合、その品質によっては腹がしっかり起きているのに、バラが薄く肉質が上がらないケースが出てきます。なぜそのようなことが起こるかというと、使用する粗飼料の消化速度が違うからです。 アルファルファ(ルーサン)などは、タンパク質が豊富で、しかも消化速度が速いのです。消化速度が早いって事はどういう事かっていうと、腹持ちが悪い。つまり腹が膨れにくいのです。だから、「たくさん食わせたのに腹が起きない」ってことになるのです。しかし、粗飼料からのタンパク質やカルシウムがたっぷり詰め込まれるわけですから、牛さんの発育はよくて当然です。 逆に、稲科の粗飼料はタンパクもカロリーも低めのが多いし、ましてや品質の悪いものでは栄養価が低くて当然です。しかも消化速度が遅い。つまり「腹は膨らむ(起きる)けど、発育はたいしたことない」ということになるわけです。 |