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池田哲平のコラム
牛の解剖99:尿管~膀胱(1)

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2012年5月11日

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 尿管は腎臓で出来たおしっこを膀胱へと運ぶ管です。よく尿道と混同されますが、尿道は膀胱からおしっこを体外に出す部分です。
 尿管は左右の腎臓から一本ずつ出ていて膀胱へと繋がっています。腎臓から出た尿管は体の背中側を伝って伸び、膀胱とは膀胱の背中側でつながっていているのですが、この尿管と膀胱の結合部に、一つ生物の工夫がみられる部分があるんです!!
 
 腎臓から伸びてきた尿管が膀胱に達すると、尿管は膀胱の背中側から斜めに膀胱に突き刺さるようにつながり、膀胱の壁の中を数㎝進んでから膀胱の内側に開口します。

 これがどういう意味を持つのか?

 実はこれによって「膀胱からのおしっこの逆流を防ぐ」という効果があるんです。
 
 膀胱におしっこが溜まってきて膀胱がどんどん大きくなってくると、膀胱の内側の圧力が高くなります。この時、膀胱の壁内を走っている尿管は圧迫されてぺったんこになり、おしっこが尿管内に逆流しないように閉じてしまうんです!こうすることでおしっこの逆流を防ぎ、腎臓に負荷がかからないようにしているんです。

 でもこの時、尿管は膀胱におしっこを送り続けます。尿管は腸のように収縮力を持つ筋肉でできた管状の組織で、蠕動運動によるおしっこを送る力は結構強く、膀胱の内圧に負ける事は少ないんです。なので、尿石症などでおしっこが出ないときは、膀胱内にどんどんおしっこが溜まっていってしまうんです・・・。

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