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戸田克樹のコラム
第393話「分娩待ちの間にできること②」

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2023年5月29日

前回のコラムに引き続き、今回からは連絡した獣医師が到着するまでに確認しておいてもらえると助かることをリストアップしてみます。

確認しておいてほしいことその①「分娩予定日」
早産なのか、長期在胎なのかは大切な情報のひとつです。分娩室の前に授精日や種雄牛名、分娩予定日などを書いたボードを貼ってくれている農場もありますが、現場で畜主に確認すると「いつやったっけな?」と記憶をたどり始める方もいます。介助に入る前に正確な日にちが分かると、「予定日より〇日も早いから虚弱子牛が生まれるかも」とか、「〇日も遅れているから過大子かも」、あるいは「予定日が過ぎているのに小さいな…もしかしたら双子じゃないか?」というような考えが脳内を駆け巡ります。ささいなことかもしれませんが、こうした考えが事前に浮かんでいるかどうかは、「落ち着いたお産介助」を実践するためには非常に大切です。

確認しておいてほしいことその②「過去のお産状況」
もし今回が初産でなければ、前回の分娩状況はどうだったでしょうか。過大子が生まれやすい母牛であれば、今回も過大子による難産の可能性は十分に高いです。もしかしたらすぐに帝王切開に切り替えた方がいいかもしれませんね。さらに、分娩後に子牛の面倒を見るのか、産後に興奮して子牛を踏んだり攻撃したりする傾向がないか、といった情報も大切です。せっかく生まれた子牛が死んでしまっては大変です。産後に攻撃的になる母牛であれば、分娩後に保定を解除する前に子牛を離したり、分娩室からスタッフを全員出してから保定を解除したり、といった対応が必要になりますね。

つづく
 
 
 
 
今週の動画
現場で血液妊娠鑑定キットを使ってみました!!

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