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戸田克樹のコラム
第391話「変わらない方がいい!?」

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2023年5月15日

グローバリゼーションの激しい波にのみこまれないよう、ダイバーシティを推進し、ワールドワイドにものごとを考えていかないと生き残れない時代です。なんのこっちゃ…。とにかく激動の時代です。農場で働く皆さんが試行錯誤をしながら生き残ろうと必死になっている今、私たち獣医師もその在り方や働き方を改めて考え、時代の変化に対応していかなければいけません。

しかし、変わらない方がいい、ずっと同じでいい、というものもあります。それは、牛が暮らしている環境です。人間であれば、飽きっぽい人や新しいもの好きな「同じ環境で過ごすことが苦手」という人もいます。しかし、ルーメンという発酵タンクを持つせいか、牛は何よりも変わらない安定を好むように思います。いつもと同じ時間にこれまで食べてきたものと同じエサを食べ、同じ仲間と過ごし、同じ場所で暮らす。おそらく、それが彼らにとっては大切なことなのではないでしょうか。

エサの種類や量が変われば下痢したり、仲間が変われば闘争が起きたり、場所が変わったら落ち着きなく吠えたり歩き回ったりする…。こうした様子を見ると、いつもそのように
感じます。

そんな安定を好む牛ですが、生きていればどうしても変化に遭遇しますよ。日本には四季という季節の変化があります。さらに、月齢によってエサは変わっていきます。住む場所も群れも月齢などの理由で変わっていきます。

私たちと同じように、牛も変化に対応していかなければいけないとは…シビアな世界です。そんな避けられない変化が起こるとき、私たちは牛に対してどうアプローチすればよいのでしょうか。普段からストレスをなるべくかけない管理を心掛けること、落ち着いた環境を提供すること、そして、どうしても「変化」というストレスがかかる際にはビタミン剤や生菌剤、強肝剤などの添加剤を用いてストレスの影響を少しでも小さくしてあげること、そしてストレスのかかるイベントをなるべく少なくすること。そういった対応が大切です。
 
 
 
 
今週の動画
哺乳と唾液について考えてみました

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