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原田みずきのコラム
牛さんの孫の手

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2023年2月2日

鹿児島に住んでから4年が経ちました。入社したばかりは怖かった静脈注射も、すこしは慣れてきた気がします。それでも未だに苦戦することがあるのが、大きな肥育牛の注射です。特にビタミン打ちの牛さんや、何日か治療して元気を取り戻してきている牛さんは暴れることが多いので苦戦します。

そのようなとき、いつも診療に伺っている農家さんでは「秘密兵器」で援護してくれています。
それがこちら

これはアメリカンレーキという農機具です。
これで牛さんの背中を掻くと・・・

「あ~、そこそこ。気持ちいい~。」って感じの顔をしていますね。普段自分の手(牛なので足ですね)が届かないところを掻いてもらって顔がとろけています。
牛さんが夢中になっている間に注射を打てば、比較的楽に投薬することができます。中には針を刺されていることに気が付いていない子もいます。

農家さん不在時に一人で治療するときも、大きな肥育牛の場合は背中を掻きながら聴診や検温を行うとスムーズにできる気がします。注射するときは両手を使うため背中を掻きながらの投薬はできないのですが、注射する直前まで背中を強めに掻いて、牛さんが余韻に浸っている間に素早く駆血して針を刺すようにしています。誰かに援護してもらうときほどではないですが、この方法でうまくいくこともあります。

この方法だと獣医が安全に投薬できるだけでなく、治療時の牛さんのストレスも大幅に減らすことができます。もし注射に苦戦している獣医がいたら、牛さんの背中を掻いて援護してあげてくださいね。

 
 
 
 
今週の動画
【診察】感覚を駆使した診察とは~嗅覚編~

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