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江頭潤将のコラム
No.48 ポタ電で凍結機

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2021年10月4日

診療車の中で顕微鏡を使用するときに活躍しているポータブル電源(ポタ電)ですが、受精卵の凍結機も動かせると聞いて早速試してみました。

使用機器
・ポタ電:EcoFlow RIVER Pro 容量720Wh
・凍結機:YT Freezer 80

ポタ電はエコフロー社のものです。十分な容量と速い充電速度(1時間以内で0%→80%)、軽量コンパクト、さらにエクストラバッテリーを追加すると容量が2倍になることからこの機種を選びました。
凍結機は説明不要のヤマネテック社製のYTフリーザーです。

①スタート時

容量100%でスタート
26.4℃→-7.0℃(植氷温度)まで冷却

②植氷温度保持

-7.0℃時点で容量98%
通常はここで5分以上置いてからストローを挿入し、さらに2分間の平衡後に植氷を行います。


今回は10分そのままにしてみました。
10分経過時点で容量95%


植氷終了後はさらに10分の保持時間があります。
10分経過時点で容量89%
まだまだ余裕ですね。

③最終温度まで冷却開始

-7.0℃→-30℃まで-0.3℃/分で冷却
-30℃時点で容量60%

④凍結終了

凍結が終わってストローをボンベに移したら凍結機を30℃まで加温します。
30℃時点で容量56%
なんとか半分以上残りました。
これだけ余裕があれば実用上は問題なさそうです。
 
 
まだ半分以上残っていたのでもう1回動かせるか試してみました。
⑤2回目の運転後


-30℃時点で容量6%
30℃までの加温終了時点で残り容量3%
このポタ電での連続2回の凍結はやめた方が無難ですね。
 
 
これで採卵後に車の中で凍結しながら移動できることが分かりました。
注意点は、今回の試験では実際にストローを挿していないこと、新品同様のポタ電なのでバッテリーが劣化していないことです。
また、凍結プログラムや外気温でも消費量は多少変わってくるかもしれません。それでも半分以上残ったので普通に使用するだけなら十分でしょう。

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