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松本大策のコラム
「肺炎の防除のお話8 薬剤添加その1」

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2007年1月27日

 さて、ウイルスに対しては、牛さん自体の免疫で対抗するか、ウイルスが牛さんにとりつく前に殺菌消毒してしまうか、しか予防法はないというお話しをしましたが、それ以外の病原体ではまた別の方法があります。ウイルス感染後に細菌やマイコプラズマが2次感染すると、肺炎や中耳炎などの症状が大変重篤になります。これらの細菌やマイコプラズマをやっつける薬が抗生物質です。(正確には、カビなどの微生物が作る抗菌物質を“抗生物質”と呼び、合成した物は“合成抗菌剤”と呼び、区別します)
 いろいろな農場でも、肺炎が流行した場合には、抗生物質の飼料添加などで流行を阻止しようとします。ただ、飼料添加には1つ欠点があります。それは、「発症した牛さんは食欲がないので、餌に薬を混ぜてあっても食べない」という点です。この欠点を補うのが飲水投与装置(ドサトロン、ドスマチックなど)です。これは、飲み水の中にお薬を一定の割合で混ぜる事ができる装置で、これだと熱がある子牛でも、肺炎の子牛でも水は飲みますから、薬をすべての個体に一斉に与えることができるのです。
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