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池田哲平のコラム
「牛の解剖82:肝臓(6) ~ビリルビンの排泄~」

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2011年9月2日

 便の色を決定する元になっているこのビリルビンは、もちろん胆汁として肝臓から分泌されるのですが、そのさらに元の物質というのはもっと別のところから供給されているのです。実は、このビリルビンは大部分が赤血球から生まれてきます(一部は筋肉から)。生まれてくると言うと誤解があるかもしれませんが、赤血球の中にあるヘモグロビンという物質が変化したものがビリルビンになります。
 赤血球がその寿命を終えて分解される時や、出血によって血管の外に出て固まった後に吸収・分解される時、赤血球の中身は色々とばらばらにされるのですが、その中のヘモグロビンは形を変えてビリルビンになります。つまり言い換えると、胆汁中のビリルビンは役目を終えた赤血球の死骸の一部が体の外に出されるために変化したものだという事です。たくさん赤血球が死んでしまった時にはたくさんビリルビンができるので、ビリルビンを体の外に出すために肝臓はフル回転して胆汁を分泌します。なので、貧血や出血を伴う病気の時には、その程度に応じて強肝剤を投与してあげるというのは非常に大切です。

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