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池田哲平のコラム
「牛の解剖80:肝臓(4) ~消化に果たす役割(2)~」

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2011年8月19日

 胆汁とは、肝臓から分泌されて脂肪の消化を助ける働きを持つ液体です。たくさん種類のある食物成分のうち、脂肪の消化に特化して関わっているものなのです。「助ける」とか「関わっている」という書き方をしたのは、実は胆汁そのものが脂肪の消化を行う訳ではないからです。脂肪の消化(分解)を行うのは、膵臓から分泌される“膵液”に含まれている種々の酵素たちです(詳しくはまた膵臓のところで…)。では、胆汁はどのようにして脂肪の消化に関わっているのでしょうか。
 脂肪というのは、みなさんご存知の通り水には溶けません。しかし、水に溶けないままだと、腸管内での消化には都合が悪いことがたくさんあるのです。そこで、胆汁の登場です!胆汁の役割というのは、この水に溶けない脂肪を水に溶けるようにすることです。作用の仕組みとしては、洗剤で油汚れを落とすのと同じです。洗剤は、洗剤で油を包んでしまって、その包んだ粒が水に溶けたように見えるというものです。胆汁もこの様に、脂肪を小さい粒にして包んでしまって、脂肪が水に溶けるようにしているのです。

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