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池田哲平のコラム
「牛の解剖62: 第四胃(6) ~自身を守る粘液~」

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2010年11月19日

 では第四胃の内側を見てみましょう。第四胃は別名“皺胃(すうい)”とも言われ、その粘膜面はたくさんの皺(しわ)があるのが特徴です。この皺すべてが腺分泌を行う粘膜になっていて、とても柔らかくツルっとした感じになっています。これは、第四胃以外の他の三つの胃との大きな違いになります。第一胃から第三胃の粘膜は、どちらかと言うと硬めでザラザラした感じが特徴です。
 粘膜から分泌されるものとして、これまでに胃酸と消化酵素があるというのを言ってきましたが、実はそれ以外にも第四胃の粘膜から分泌されるものがあるんです。これは単胃動物でも同じなのですが、胃(第四胃)自身が胃酸や消化酵素にやられないようにするための“粘液”も第四胃の粘膜面から分泌されています。最近テレビでも「減ってきたのかなぁ、胃粘液…」なんてフレーズを耳にしますが、様々な原因で第四胃での粘液が減少すると、第四胃自身が傷害を受けやすくなり、第四胃炎や第四胃潰瘍になるリスクが高まります。
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