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松本大策のコラム
新型コロナウイルスのお話し

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2020年1月27日

 中国の武漢で発生した「新型肺炎」の原因が「コロナウイルス」であることが判明しました。今回のコロナウイルスは(コロナウイルスと言ってもいろんな株(家柄)があるのです)、コウモリにいたものをヘビが食べて、それを人が食べた、という情報もあります。「ヘビとか食うなよー」って言いたいところですが、文化なので仕方ないですね。
 僕もしばらくは渡航自粛ですね。

 しかし、こういう食材からの病原体感染は、どこでも起こりえますから、少しそのお話しもしましょう。実際に食べる人は、加熱などでウイルスや病原体が死滅(ウイルスの場合は、生き物じゃないとも言われているので「変性」と表現した方が正しいかな)しており、かえって感染の危険は下がるのですが、問題は調理する人です。素手で病原体のいる生の食材を扱うときに、生きている病原体が感染してしまうのです。
 日本でも、川にいる藻屑ガニを調理した人が「日本住血吸虫」という寄生虫に感染することが、たまに報告されています。他にもお肉屋さんで豚肉を扱う人がトキソプラズマに感染するというケースもあります。トキソプラズマも妊娠中に感染すると危険性がありますし、最近では食肉からのトキソプラズマ感染で性格に変化が生じるという報告もあります。なるべく生の状態では素手で触れない方がよいと思います。

 さて、新型コロナウイルス感染症ですが、すでに変異して感染力が強くなっているという報告が中国から出ています。でも、その根拠はまだ示されていません。十分注意すべきは当たり前なのですが、情報を見る場合には注意も必要です。そうしないとデマの拡散になりますからね。これは今の社会では大変重要なことです。
 僕は、二つの可能性を考えています。
  可能性1:本当に変異して感染力が強くなっている
  可能性2:当初の中国政府発表が偽りで、感染者の数をごまかせなくなってきたため、「変異して感染力が強まり感染者が増加した」ということにした。
 意地の悪い見方かも知れませんが、これからのことを考えると出来れば可能性2であって欲しいですね。

 それから、マスクもした方がよいかも知れませんが、より重要なことは手洗いだと考えます。これはインフルエンザでも言えることですが、ウイルスは咳やくしゃみ以上に、鼻水や痰、唾液などに多く含まれているため、患者がそれらの付着した手でドアノブなどを触ると、そこに多数のウイルスが残り、それを触れた人が、自分の目や鼻、口などをなど触ることで感染が成立する可能性の方が高いからです。
 また、使用後のマスクの扱いに注意がなされていないようです。マスクが優秀であればあるほど、その表面には「侵入を阻止したウイルスがたくさん付着している可能性があります。マスクを外す際にそこに触れてはいけませんし、勢いよくマスクを外すと、そこでウイルスをまき散らす可能性が高いからです。心配性のように思われるかも知れませんが、これは医療関係者の間では常識です。

 コロナウイルスはもともと腸炎も起こすウイルスで、発熱がなくても伝染する場合があります。下痢などにも注意しておきましょう。

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