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池田哲平のコラム
「牛の解剖54: 第二胃(5) ~芸術的な粘膜面~」

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2010年9月24日

 第二胃の最後に、第二胃の粘膜を見てみましょう。
 第二胃は第一胃の機能を補助的に行う器官であるので、その粘膜面も第一胃と同じようになっているかと言うと、実はそうではないんです。個人的にですが、第二胃の粘膜は、他に類を見ない芸術的ともいえる構造をしていると思います!
 食肉としての第二胃は「ハチノス」と呼ばれるのですが、第二胃の粘膜は、四角形〜六角形の小さな部屋が寄り集まったような形で構成されていて、正に「蜂の巣」の様な構造になっています。蜂の巣の一つ一つの部屋には、壁や床面からいくつも小さな突起が飛び出していて、これが第一胃で見られた乳頭と同じような役割を果たしています。つまり、この突起(第二胃乳頭)によって粘膜面の表面積を拡大してVFAなどの吸収を効率よく行うのです。ですが、第一胃乳頭に比べてこの第二胃乳頭はとても小さく、表面積を広げるという効果は微々たるものです。あくまで第二胃は第一胃の補助的器官であるので、第二胃乳頭はかなり申し訳なさそうに部屋の壁から顔を出している感じがします…。
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