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蓮沼浩のコラム
第600話:オーストラリア肉牛産業事情視察 その6

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2020年1月9日

 今年も「ほとんど役に立つかわからないけど1%ぐらいは役に立ち、ほんのちょっとだけ笑える」コラムを書けるようにしたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
 
 
 Aさん「蓮沼先生、世界には日本以外に純血の黒毛和種が90万頭いるんだよ」

 ハス 「え、本当ですか???そんなにいるのですか!!!」

 現在日本には肉用牛が約251万頭います。その中で黒毛和種は大体165万頭を占めています。もちろん本場である日本が一番多いのですが、もしも90万頭という数字が正しければ、結構な頭数が世界にいることになります。世界の黒毛和種の頭数についてはあくまでも聞いた話なので、小生はデータとして正式な数字を持っているわけではありません。しかし、和牛がオーストラリアを中心にして世界に広がっているという事は時々聞くことがあるので、あながちこの数字は間違ってはいないような気がしています。実はオーストラリアから世界に広がっている和牛を自分の目で確認してくるということは、今回の視察の目的の中のひとつでした。

 そしてついに実際にオーストラリアで見てきました。うわさ通り、どっさり純血の黒毛和種がいました。やはり沢山黒毛和種はいるのですね。オーストラリアでは生体の雌や雄を世界に輸出したり、精液の販売を行ったりしていると聞きました。中国にかなり流れているという話も聞きました。ただ、中国へ流れている生体の雌の頭数は正確にはわからないとのことでした。また、現在は肉として海外に輸出するよりも、生体で輸出した方が儲かるという話も聞きました。ちなみに黒毛和種の精液は一本大体10,000円。日本とは遠く離れたところに実は黒毛和種の一大生産基地があることに驚きです。血統に関してはかなり古いものを使っているようです。どのくらいの能力があるのかは不明ですが、黒毛和種の種牛も何頭か見ることができました。当然外見は小生がいつも見ている種牛と同じです。

 昨年末の12月25日に大阪地裁で「中国へ不正に輸出されると知りながら黒毛和種の受精卵と精液を譲り渡した」ということで、元牧場経営者に家畜伝染病予防法違反幇助の罪で有罪判決が出ました。ストロー365本は少なくとも海外に渡っています。当然、これらの純血黒毛和種の遺伝資源は海外で有効利用されることでしょう。

 これから先は海外でも改良が進み、今まで以上に品質の高い黒毛和種の生産が可能になると思われます。そのような中で、日本の肉用牛業界はどのような「戦略」をもって、これからの時代を生き抜いていくのか?本当に難しい問題が多いですが、色々と考えさせられますね。

 今回の話はあくまでも小生の限られた知見を元にして書いています。不正確な面もあるかもしれませんのでその点はご了承ください。

 あまり笑える内容ではなかったかも・・・。

今週の動画
 「オーストラリアの黒毛和種 Japanese black in Australia.」

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