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蓮沼浩のコラム
第598話:オーストラリア肉牛産業事情視察 その4

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2019年12月19日

 最近缶詰にはまっています。特にサバやイワシの缶詰は健康にも良いですし、最高です。DHA・EPAは中年オヤジは意識して取りたいですね。
 
 
 
 今回はオーストラリアの和牛とブラック・アンガスの交雑種の飼養管理方法(繁殖)を紹介します。基本的にオーストラリアの肉牛生産はGRASS FED(グラス フェッド)といい、すべて牧草のみで育てられます。もちろん一部の肥育牛で配合飼料を与えるところもありますが、ほとんど牧草のみです。そして管理方法は繁殖牛の場合は放牧が主体となります。今回訪れた所も広大な敷地にブラック・アンガスの雌牛が放牧されており、そこに和牛の雄牛を入れて自然交配を行っていました。

 前回のコラムでも書きましたが、今オーストラリアは旱魃が酷いので今回お邪魔した一戸の牧場は和牛の雄が2頭とブラック・アンガスの母牛が50頭と頭数が激減しています。以前は雌が250頭いたそうなのですが・・・・。

 とにかく特筆すべきポイントは牧場の広さ。半端ありません。この52頭に対して放牧地の面積が何と約650ヘクタール!!650町歩の広さです。この広さは日本とは比較になりません。桁違いです。ただ、切ないことに牧草が生えていないので、これだけ広大な敷地があっても、地下水をくみ上げて作った乾草や購入した乾草を与えています。経費と労力が半端なく増えています。

 また、3ヶ月に1回妊娠鑑定を行っているそうです。ここで妊娠していなかった場合はもう一方の種牛でトライします。それでもダメな場合は繁殖を断念して肉として出荷するようです。

 子牛は産まれてきてから基本的には6ヶ月は親につけて母乳を飲ませてから離乳します。親に長くつけている方が増体はよくなります。しかし、現在は粗飼料が不足しているために離乳を早めて4か月程度で実施しているそうです。理由は聞けなかったのですが、おそらく小生が想像するに、親が授乳させる期間は粗飼料を多く与えなくてはいけないので、その分のコストがかかることが原因ではないかと思っています。

 牧草を腹いっぱい食べることができた状況と今では大きな違いがありますね。今回見た子牛は月齢に比べて小さく見えました。離乳が早まっていることや、良質な牧草を沢山食べることが出来ていない事が大きく影響していると思われます。

今週の動画 「ブラック・アンガス Black Angus」

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