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池田哲平のコラム
牛の解剖36:唾液腺(1) ~縁の下の力持ち~

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2010年4月9日

 口の中にあって消化にかかわる主要な組織として、舌と歯は目で見えるのでとても分かりやすくかつ重要であることはイメージしやすいと思います。ですが、この両者と同じくらい消化に重要な組織が他にもあります。口の中を覗いても外から眺めても見えないのですが、消化に深く関わる縁の下の力持ち……それは唾液腺です。唾液腺はその名の通り唾液を分泌する器官であり、顎の近くに大きなものが左右3対あります。耳下腺・下顎腺・舌下腺といいます。唾液はこれらの唾液腺で作られたあと、細い管を通って口の中に送られます。
 唾液のもっとも大きな役割は、食物と混ざり湿らせることで食べた物を粉砕しやすくし、噛み砕かれた食物とさらに混ざり合って嚥下を促すように十分になめらかな食塊を作ることです。そのほかに、消化作用・抗菌作用・緩衝作用などがありますが、ウシを始めとした反芻獣で大切なのは、最後に言った緩衝作用です。詳しいお話はまた次回以降にします。
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