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原田みずきのコラム
ハローウィン

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2019年11月1日

昨日はハローウィンでした。テレビではだいぶ前から都会で盛り上がっている様子が報道されていましたが、こちらはハローウィンのハの字もなく、いつもどおり往診していました。何件目かの農家さんでハッチの子牛を見に行くと・・・

おわかりいただけましたでしょうか。ハッチの壁にベッタリと血が付着しています。
これはハローウィンの演出・・・ではなく重度の血便です。治療したあと、事務所に糞便を持ち帰って顕微鏡で見てみました。

子牛の便から検出されたのはコクシジウムという寄生虫でした。赤丸で囲ったものがコクシジウムのオーシスト(卵のようなもの)です。コクシジウムは牛などの腸管に寄生して腸粘膜をボロボロにします。ここにクロストリジウムなどの細菌が感染し、下痢や血便を引き起こします。オーシストを数えてOPG(糞便1g中に含まれるオーシストの数)を計算してみると、12400個/gでした。つまり、この子牛のうんち1g中には1万超のコクシジウムがいるということになります。OPG3000個/gくらいから発症するので、症状が出るのに十分な数のオーシスト数でした。他の牛が多量のオーシストを経口摂取するとさらに感染が広がります。おそろしいですね。
コクシジウム症の対策と治療法についてはまたの機会にご説明させてください。

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