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池田哲平のコラム
牛の解剖19: 肺(5) ~ブドウの実とブドウの皮の違い

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2009年11月28日

 肺炎とは様々な原因によって肺に炎症が起きていることの総称です。病原微生物によるもの(細菌、ウイルス、マイコプラズマ、真菌、寄生虫など)が有名で、牛の肺炎もほとんどがこれらによるものです。その他には誤嚥性肺炎(飼料や経口薬)、吸入性肺炎(ガスなどの化学物質)、過敏性肺炎(カビの胞子、ホコリ・粉塵などによるアレルギー)などが肺炎の分け方としてあります。
 以上に書いた肺炎の種類は肺炎の原因による分け方ですが、ここでのテーマは解剖!!なので、肺炎の肺を顕微鏡で見たときの違いを少し。以前に、肺はブドウの木みたいなもので、ブドウの実(ふさ)がぶら下がっている枝の集まりであると言いました。ブドウの実がガス交換を行う肺胞ですね。肺炎のとき、この肺胞が炎症を起こすものを“肺胞性肺炎”といいます。そのままで分かりやすいですね。その一方で、肺胞=ブドウの実の部分ではなく、ブドウの皮に炎症が起きるものもあるのです。これを“間質性肺炎”と言います。ん〜、ちょっとムズカシイ…ですね(汗)
 なぜこのような違いが起きるのか?ちゃんと原因があるのですが、その話はまた次回。。
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