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笹崎直哉のコラム
耐性菌のお話 その1

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2019年9月24日

シェパードでは獣医師を募集しています
 シェパードでは、関東地区の獣医療が不足している地域を支援するため、栃木県那須塩原市に支所を設けることにいたしました。2020年の4月に開設する予定です。経験、未経験は問いません。シェパードで研修後、現地勤務となります。募集内容は こちら から。

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 皆様お疲れ様です。だんだんと涼しくなりそろそろ呼吸器系の病気が増えてくるのではないかと思います。呼吸器病は基本的に抗生剤の投与が欠かせません。そこで今回は少し皆様も聞いたことがあると思いますが「耐性菌」についてお話しようと思います。

 私たちが抗生剤を牛さんに投与したとき「熱が下がらない、症状が改善されない」など効果が出ないときに、その原因の一つとして考えられるのは細菌が抗生剤に対する耐性を獲得していることです。もともとは抗生剤に対して感受性があったのに、だんだんと耐性化してしまい、牛さんの症状が改善しないから抗生剤を変更した、なんてケースはまれではありません。最終的には再診が増えてしまったり、死亡が出てしまったりと生産性の低下につながってしまいます。

 菌が持つ遺伝子に突然変異が起こることによって特定の抗生剤に対して耐性を得るのですが、この耐性化の原因は一体なんでしょうか。その要因として以下内容が挙げられます。

 ・正しい検査を行い、原因菌を調べたか
 ・効果の弱い抗生剤の連投
 ・抗生剤の選択ミス
 ・投薬量や期間が不適切

 いざ往診現場で細菌検査を徹底的に実施するのは困難です。しかし「あ!鼻水をだしている!すぐ抗生剤を投与しなきゃ!」とむやみに抗生剤を投与したり、1回の投与量や投薬期間を間違えてしまうと、その先には耐性化という恐怖が待ち構えています。

つづく

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