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戸田克樹のコラム
第249話「炎症をどう扱おうか④」

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2019年8月28日

シェパードでは獣医師を募集しています
 シェパードでは、関東地区の獣医療が不足している地域を支援するため、栃木県那須塩原市に支所を設けることにいたしました。2020年の4月に開設する予定です。経験、未経験は問いません。シェパードで研修後、現地勤務となります。募集内容は こちら から。

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山口大学から無事に帰還しました。4日間すべて英語で進む講義。留学生には日本語は通じるわけもなく。日本人同士、日本語で論議していると「No Japanese!」とニコニコしながら先生が注意してきます。恐怖です。実験内容の発表後に、予想外に飛び交う質問たち…。そしてそれに応えるのは全身の汗腺(笑)。大変なことになりました。ひとまず戸田の夏休みは終了です。

炎症は起こると血管壁が緩んで白血球が組織の外に出やすくなって、病原体をたたいてくれる。それでは炎症はむしろ起こってくれた方が良いのでは?別に薬で止める必要はないのでは?と少し思ってしまいます。

しかし、いくら体が自分を守るための正常な反応だとしても、炎症が起こると結構つらいですよね?たとえばカゼをひいて熱が出れば体はだるいし、頭も痛い…。牛さんも私たちと同じで炎症が続く状態はあまり良いとは言えません。食欲が落ちて痩せてきますしね。

でも、それだけではありません。炎症反応という刺激を受けて活性化した免疫細胞によって体の細胞がどんどん傷んでいくというデメリットも炎症反応には含まれているのです。

活性酸素のデメリット
免疫細胞は病原体を様々な方法で攻撃してくれます。時には直接病原体を食べてくれたり(貪食作用)、抗体をばらまいて病原体を弱らせてくれたり、活性酸素を分泌して病原体を攻撃したりしてくれます。
活性酸素というのは簡単に言えば「サビ」ですね。リンゴを置いておけば変色したり、金属が少しずつサビついたりしていくのは活性酸素の仕業です。

非常に毒性の強い物質ですので、病原体を強力に攻撃してくれるのですが、あまりにも量が多いと今度は正常な細胞もダメージを受けてしまうというデメリットもあるのです。

これではちょっと炎症反応さんには一旦落ち着いてほしいなぁ~・・・と思いますね。

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