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笹崎直哉のコラム
蹄を痛がる牛さんには①

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2019年8月13日

シェパードでは獣医師を募集しています
 シェパードでは、関東地区の獣医療が不足している地域を支援するため、栃木県那須塩原市に支所を設けることにいたしました。2020年の4月に開設する予定です。経験、未経験は問いません。シェパードで研修後、現地勤務となります。募集内容は こちら から。

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 皆様お疲れ様です。先日「牛の歩き方がおかしい」との稟告で往診しました。
 特に他の牛さんに乗駕されて腰を痛めた形跡もなく、左の前足が跛行し、蹄のつなぎや球節、前膝、肩部と順番に視診や触診を行いましたが、特に異常はみられませんでした。

 次に蹄の診察です。蹄が長く伸びていたり、趾間が傷ついて化膿したり、釘が刺さっていたり等の所見はありませんでした。そして最後の手段であります

「蹄を叩く」

をトライしたところ、かなりの痛みを感じたのでしょうか、勢いよく足を引っ込めました。ちょうど農家さんが枠場をお持ちでしたので、実際に左前足を持ち上げて蹄底をじっくり観察してみると、白帯部の一部に小さな穴が開いており、脆くなっていました。ちなみに白帯部というのはここです。

 ここで白帯病(白線病あるいは白帯膿瘍)を疑って、削蹄を実施したところ、さらに穴が広がり「プス!!」という空気が抜ける音。

 さらに削っていくと、血液と膿汁が混じった悪臭の液体が出てきました。蹄の中で膿瘍のポケットができていたようですね。

 どうやらこれが蹄の中で悪さをしていたようですね。さらに同農場でもう1頭跛行する牛さんが発生し、今度は後ろ足が痛そうでした。ひどい跛行具合でした。案の定、蹄を持ち上げて叩くと驚くほど痛がりました。削蹄をすると、、、

 確かにこれでは牛さんは痛くてたまらないでしょうね。

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