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伏見康生のコラム
「NO.159 「玉腫れ その2」」

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2011年11月2日

 虚勢中のちょっとした汚染程度であれば、玉(正確には去勢後の陰嚢)はイタイタしくパンパンに腫れるものの、よく内部を洗浄し抗生物質を投与すれば数回の治療ののち何もなかったかのようにきれいに治ります。

 ところが、あまりに大きな異物や汚れなどが陰嚢内に閉じ込められそれが除去されずにいた場合、異物と生体は戦って膿が生じます。膿も異物も体外に排除できないので封じ込めてしまおうと周囲にはもりもりと肉芽や結合組織がでてきます。そうして出来上がる腫れが、化膿性肉芽腫性炎です。
 このタイプの腫れは、原因が取り除かれた訳ではなく、牛がムリヤリ押さえ込んだものですので、”うずいて”炎症が再燃することもあります。中には肥育が進むにつれてグングン腫れてきて…エサを食べない、手がつけられない、なんてことも起こることさえあります。

 ということでそんな危険な香りがする玉腫れを導入時に見つけたら、数日間抗生物質等の注射でターゲットを小さくし、炎症を限局させ、まるまる摘出除去してしまいます。

つづく

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