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笹崎直哉のコラム
羊水について学んだこと

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2019年7月9日

 皆様お疲れ様です。7月に入り、だんだんと暑くなってきました。夏に弱い笹崎は、7~9月はとても悩ましいシーズンです。しかしある気象予報士さんが「今年は従来の夏と比べて涼しくなります」と発表していたので、少し夏が楽しみです。期待しながら今後とも頑張ろうと思います(笑)。

 先日お産に呼ばれました。「1次破水終わったのに、なかなか母牛の陣痛がこない。しかも逆子だ」との稟告でした。難産で逆子の場合は厄介なケースが多いので、慎重に胎子やお母さん牛の状態をチェックしました。胎子はしっかりとバイタルサインがあり、元気だったのですが、お母さん牛の陣痛が弱かったので、しっかりと両手で産道のマッサージをしてあげました。その後少しずつ胎子が上がってくるにつれ、ついに2次破水したのですが、とある異変に気づきました。

 「あれ?羊水の色が変だ!オレンジと黄色が混ざった色をしているではないか!!」

 通常の白色透明ではなかったので違和感を覚えたのですが、はっきりと原因が分かりませんでした。結局のところお恥ずかしいことに、農家さんに説明できずに娩出に入ってしまいました。滑車にて娩出後、胎子は羊水を飲んでおり元気がなかったのですが、吐き出した後に冷水をかける等の処置で活力を取り戻してくれました。

 帰って調べてみると、あの羊水の色は、胎子の胎便によるものだということが分かりました。どうやら出産に時間を要したり、胎子がお腹を圧迫されたり、苦しかったりすると排便してしまうようです。振り返ってみると、確かに今回のお産は逆子だったし、娩出までに時間を要しました。娩出後の状態を考えても理にかないます。翌日農家さんに説明し、私の説明不足をお詫びしたとこでしたが、とても良い勉強になりましたので、今後につなげていこうと思います。

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