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笹崎直哉のコラム
「血液の病気」~牛白血病~

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2019年2月5日

 皆様お疲れ様です。牛さんの診療で欠かせないものといえば血液検査です。血液検査にて白血球が明らかに上昇しているときは、様々な要因が考えられますが「白血病は大丈夫かな??」と常に疑ってしまうぐらい、牛白血病は重要な伝染病です。血液の癌と呼ばれているように、残念ながら、ワクチンや治療法がありません。感染すると潜伏期間を経て発病し、最終的に死に至る重篤な病気なのです。ここで潜伏期間について補足説明しておきます。人間界で流行しているインフルエンザウイルスに例えると、実際にウイルスが体内に侵入し、発熱や関節痛みといった症状が現れるまでの期間を指します。おおよそ3日間です。

 では、ウイルス性の牛白血病はどうでしょうか。かなりのばらつきがあり、3年~10年間とされます。かなり若い牛さんでも発病ししてしまう報告もあり、問題になっています。牛白血病はこのようにウイルスが原因となるケース(地方病型牛白血病と呼ばれます)がほとんどなので、PCR法やELISA法にてウイルスの感染診断を実施します。ここまでは皆様がよくご存知の内容と思います。しかし実はウイルス感染と関係ない白血病もあるのです。私もまだこの症例に出会ったことはありませんので教科書で拝見するくらいです。

 ウイルスが関与しない白血病は散発型牛白血病とよばれ、なんと原因は不明です。子牛型(子牛の段階で腫瘍を確認)、胸腺型(若牛の胸腺に腫瘍を確認)さらに皮膚型(成牛、若牛の体表の皮膚に腫瘍が発生)の3つに分類されます。発生件数はウイルス性のものと比較すると、少ないですが若齢の牛さんで腫瘍を確認した場合には特に意識しなければなりません。ウイルス性の牛白血病はとにかく予防に徹することが最優先です。発生件数を減らし、最終的には清浄化を目指したいところですが、、、まだまだ難しいのが現状です。

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