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「和牛への支援と将来展望(出雲普及員のコラム第5弾-10)」 |
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2019年1月18日
10,和牛肉の戦略
肥育生産者で構成されている「名人会」は2カ月に1回の割合で、東京芝浦枝肉市場で枝肉勉強会を開催しています。それに参加するために東京へ行く機会が多くなりました。先日は帰りの飛行機までの時間があったので、浅草へ立ち寄りました。海外からの観光客がなんと多いことか。海外観光客が2,000万人を超えたとかの報道がありましたが、実感しました。それら観光客の楽しみは、日本文化に触れ、自然を体感し、美味しいものを食べることです。
食と言えば、外国人が日本で食べたいBEST5は1位が寿司、2位焼き肉、3位ラーメン、4位天婦羅、5位刺身だそうです。焼き肉はもちろん和牛肉のことを指します。その中でも神戸牛は外国人にとって特別な存在のようで、「日本で神戸牛を食べたことは人生が変わった経験だった」と仰るほどです。和牛肉はそれほどインパクトのある食材なのです。私は孫が喜ぶので、月に1回は娘宅にて和牛肉で焼き肉をしています。孫たちはその美味しさにいつも大喜びしてくれるので、私は目尻が下がりっぱなしです。
このようにインバウンドによる消費や少々高くても美味しい牛肉を食べたいという消費者層があることから、和牛肉の需要は底堅いものがあると思います。美味しい和牛肉の価値が国内や国外で認知され、今の小売価格で需要が継続すると考えれば、高値に張り付いたように見える枝肉価格は、現在の相場で推移するのではないかと考えます。
海外への輸出にチャレンジする地域や生産者が増えていますが、皆さんそれぞれの地域単位や牧場ごとのプライベートブランド名を冠した形で海外での販売促進活動をしています。海外での販売を、日本全体で統一した形で売り込むことをしないのか不思議でなりません。ジェトロが旗振り役となって活動していますが、日本全体が一丸となった和牛肉販売促進が、海外戦略上重要だと思います。外国ではやはり「和牛WAGYU JAPANESE BEEF」で統一した売り込みをすべきだと考えます。

日本が推奨している統一ロゴマーク
つづく
技術士(農業/畜産) 出雲将之
~ 出雲普及員のコラムシリーズ ~
出雲普及員のコラム第1弾「幸せな牛飼いとなるための10カ条-1」
出雲普及員のコラム第2弾「厳しい時こそ「カイゼン」のチャンス-1」
出雲普及員のコラム第3弾「牛さんの気持ちになって考える」
出雲普及員のコラム第4弾「牛さんとわたし」
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