(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
伏見康生のコラム
「NO.89: 「和牛の肉用種転換(2)」」

コラム一覧に戻る

2010年5月12日

 雑種強勢の幻影、雑種万能の幻影・・・再度沸き起こった雑種待望論をどのように乗り越えていったのでしょうか?当時の全国和牛登録協会の会長であった羽部義孝氏は農林省の畜産局長に外国種の導入は過去の誤ちを繰り返すだけであるということを強く提言されていたようです。
 雑種の幻影を振り払い、「和牛は肉用種たり得るか」という問いに答えるべく、昭和40年12月から41年10月に及ぶ長期の第1回全国和牛産肉能力能力共進会を開催し、和牛の産肉能力に関し徹底調査がおこなわれました。その結果・・・出品牛は発育、増体、飼料効率などの肉用牛としての高い能力を示し、屠体の肉量、ことに肉質に関しては外国種の外国種の追随を許さないほどの優れた成績を示しました。これによって和牛の持つ産肉能力は、改良、向上を図っていけば外国肉用種にも劣らないということが確認されました。
 
 こうして和牛は日本の農耕から駆逐され肉一本で勝負するところとなり、外国肉用種の脅威を跳ね除け、肉用牛としての歴史を歩みはじめました。
|