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伏見康生のコラム
「NO.87: 「和牛の肉用種転換」」

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2010年4月28日

 昭和30年頃から高度成長の始まりと共に、和牛を取り巻く環境は大きく変化していきました。
 耕運機、トラックなどの普及による農業の機械化・自動化は和牛の農用牛としての役割を急速に衰退させていきました。
 当時和牛は役肉兼用種と呼ばれてはいたものの、「米、麦、農作物を作る日本の農業に役立つ家畜」という植物生産農業の従属物としての認識はとても強いものでした。和牛の実質使役期間は年におよそ30日程度だったといわれています。その使役能力も機械に代替され、改めて和牛とは?というその存在価値がクローズアップされたとき、「農業には使えない、糞尿を出すだけ、肉の生産性に価値はない、改良なんて意味がない」という認識になっていきました。
 さらに追い討ちをかけるようにこの時期には急速に牛肉需要が増加し始め、年間90万頭もの消費が出るようになりました。すると・・・「和牛は肉用種として適当ではない、かえって外国種を輸入したほうがよい、外国種との雑種F1を作ったほうがよい」という意見が出てきました。
 ・・・また、明治時代の混乱を繰り返してしまうのでしょうか・・・
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