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蓮沼浩のコラム
第542話:アニマル・ウェルフェア その3

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2018年11月1日

 気が付けば11月です。ここからが時間がたつのが早いんだよな~~~。毎年あっという間に年を越している印象をもっています。日々の生活を大事にしていきたいです!

 アニマル・ウェルフェアには、「5つの自由」という概念があります。①飢え、渇き及び栄養不良からの自由、②恐怖及び苦悩からの自由、③物理的及び熱の不快からの自由、④苦痛、傷害及び疾病からの自由、⑤通常の行動様式を発現する自由、という5項目になります。せっかくですので現場を見てきた小生の意見を加味しながら一つずつ紹介してみましょう。

①飢え、渇き及び栄養不良からの自由

 さすがに大きな自然災害などがない場合は、餌や水はしっかりと与えているところがほとんどだと思います。しかし、ひとたび地震や停電などの緊急事態が発生した場合は、どこの牧場も大騒ぎとなります。とにかく飲み水の確保は最優先課題として取り組まなければいけません。
 近年は自然災害が非常に多くなってきています。何時、何処で、何がおこるかわかりません。本当に難しい問題もあると思いますが、停電した時や、水が出ない時の対応をシュミレーションしておくことは非常に大事だと思います。飼っている牛さん達が飢えと渇きで苦しんでいる状況が続くことは、さすがにいけません。

 ただ、飢えと渇きから自由にするということに関しては皆さん大いに納得していただけると思うのですが、最後の「栄養不良」という点に関してはまだまだ問題があるようにも感じます。
 皆さんの周りには、よく見ると栄養不良状態である牛さんが結構いるのではないでしょうか?ガリガリに痩せている繁殖母牛や虚弱子牛等は現場を回っていると結構よく目にします。血液検査でも低栄養状態になっている例が引っかかってきます。栄養不良になっているということに、気が付いていない農場もあります。ブクブクに太らせればよいという問題でもありません。餌を上手にコントロールするというのは、飼養管理の非常に大切なテクニックになります。

 アニマル・ウェルフェアの観点からも、飼養管理技術を向上させ、自然災害などの緊急事態に備えるという事は非常に大切だと言えそうですね。

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