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伏見康生のコラム
「NO.68: 「日本在来牛 〜 其の一 〜 」」

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2009年12月2日

 さて、今回からは現在の和牛が改良・作出される前の日本古来の牛について紹介していきます。
 牛は古くから日本で飼われていたとされますが、おおもとは中国や朝鮮から入ってきたものと考えられています。仏教の伝来以降、明治以前までは戒律により殺生が戒められていたため、牛は主として農耕や運搬の役畜として広く飼育されてきました。
 体型は一般に小柄、晩熟で、後駆の軽い、肉量に乏しい貧弱なものでしたが、その一方で身体はよくしまり、肢蹄が丈夫で機敏に動き、粗食にも耐える頑健な牛で日本の規模の小さい水田の使役には非常に適していました。・・・なんか日本人にそっくりだな〜、親近感のようなふしぎな感情がわいてきます。日本の在来牛はその、凹背や斜尻、丸尻などの特徴から、インドの肩峰牛(こぶうし)の血が入っている(!!)と言われています。
 また毛色は、種々の書物や絵画から知ることができ、大部分が黒色でした(黒色の牛は評価が高かった)が、中には白斑や簾毛のものもいたようです(前回の写真)。

 現在の日本に、そんな在来牛の昔の姿形をほとんどかえることなくそのまま残してきた牛が存在します。次回はそのお話・・・

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