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伏見康生のコラム
「NO.65: 「尿道峡を突破せよ!!その二」」

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2009年11月11日

 これまで私たちは一般的な動物用点滴セットのチューブを尿道カテーテルとして用いてきました。このチューブは柔らかく柔軟性が高いものです。膀胱へは通ったり通らなかったりといったところです。一方、新たに使い始めたチューブは北里研究所の連続注射器接続用(写真)のもので、おそらく現在は販売がないものです(それじゃー意味ないだろー怒!!・・・ぶるぶる)。こちらはかなり硬さがあり太さも5ミリくらいあります。この新しいカテーテルによる膀胱への到達率はほぼ100%です!!
 このカテーテルの変更以外は、方法に関してはおおむね蓮沼先生のコラム(第20話)と変わりありませんが、簡単に説明させていただきます。
 オペ後・・・まずカテーテルを斜めにカットしますが、必ず大弯から小弯に向け切ります・・・これは文章での説明が難しいので、写真を見てください・・・写真のように切ります。後は尿道を開口させた部位から挿入していきます。尿道峡は肛門の真下付近に存在し、多くの場合カテーテルは一度そこでとまるので、とまったらカテーテルを5センチほど引いてほんの少し回転させて角度を変え再び挿入します。この作業を黙々と続けますと・・・あるとき、とまることなくスーッとカテーテルが入っていき、尿が内腔を流れ出てきて成功となります。後は適当な長さを膀胱内入れ、カテーテルを皮膚に固定すれば終了です。
 この新カテーテルが高い成功率を誇る要因は、なんといってもその硬さゆえのレスポンスのよさにあります。柔らかいカテーテルを手元で回転させても、尿道の中に入っている先端部分は柔軟ゆえに同じようには動いてくれません。しかし、硬いカテーテルを手元で動かしたときは、たとえ微細な角度の回転や若干の押し引きであっても確実に先端部分も同様に動いてくれます。硬いカテーテルのレスポンスのよさが尿道の腹側にあるせま〜い尿道峡の突破口を探り当てるのにとても適しています。また、尿道に存在する多少の結石や膿塊などにも屈せず、ぐいぐいと突破していってくれるという点でも硬さは非常に役立ちます。また太いカテーテルを用いると尿道を拡張させながら進みますので、もしかしたら「尿道峡の弁が持ち上げられて、隙間が少し広くなり突破しやすくなっているのでは?」とも考えています。
 尿道峡の突破に苦労されたことのある先生方、ぜひ次回はちょっと硬めで太めのカテーテルを探して試してみてください。現在手に入るチューブですと、TOPの連結管が似たような硬さと太さです。・・・ただし短くて使えません。
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