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松本大策のコラム
ビタミンAと亜鉛(ビタミンコントロールは必要か?) その4

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2018年8月31日

 現在、僕のコンサル先は、全くビタミンコントロールをしていません。しかしながら肉質には全く問題がありません。そして、肉質向上と疾病発生率の軽減を実現しています。中国の指導でも同じようにビタミンAを通期で与えていますが、肉質もよく、疾病防止にも大変貢献していると考えられます(ほとんど事故がないですから)。

 ビタミンコントロール理論を否定するわけではありませんが、所詮人間が手に入れることが出来るのは「真実のかけら」に過ぎないと僕は考えています。肥育技術に関しても、ビタミンコントロールより大切なことがたくさんあります。

 それから、研究するにしろ調査するにしろ、大切なのは、2つの事柄(ビタミンコントロールでいえば、血中ビタミンAレベルと脂肪交雑)の間の関係が、「相関関係」なのか「因果関係」なのか、を追求することです。
 「肥育中期のビタミンAが低い方が、脂肪交雑は良かった」という結果が、はたして「中期のビタミンAレベルが低かったから脂肪交雑が良かった」のか「何らかの要因で中期のビタミンAレベルが低かった牛の脂肪交雑が良かった」のか?これは大きな違いです。

 僕自身は、食い込みの良かった牛さんでは、消化の際に活性酸素などの発生が多いので、ビタミンAの消耗が激しく、追加しないと血中ビタミンAレベルが下がっていくのではないか?つまり、いくつかなされている中期のビタミンAレベルと脂肪交雑は、相関関係であって因果関係ではないと考えています。
 実際、中期の食い込みを上げてやると、ビタミンAを給与していても、血中ビタミンAは下がっていきます。逆に、中期飼料のビタミンA含有量を 0 IUにしても、食い込みの上がらない(その原因もビタミンA欠乏であることが多いのですが)牛さんでは、血中のビタミンAは 85 IU程もあることはざらです。

 さてここまで否定したのですから、論拠となる実験を示さなければなりませんね。それは次回へ(ひっぱるよー。おいちゃん、ネタ切れだからね!)。

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