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伏見康生のコラム
「NO.22: 「中耳炎とその治療(9)」」

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2009年1月10日

症状各論6 顔面神経麻痺 其の三
Ⅲ)口唇麻痺
 半年ほど前に、交雑種の肥育農家さんで「エサ喰いが悪く、しかも食べ方がすごく下手で、よく飼槽とウォーターカップをぐちゃぐちゃに汚す牛」を診察したことがありました。生後一年以上、発育不良の牛でした。その時、発熱などは確か無かったと思うのですが、鼻先を持ち上げて牛を正面からみてみると・・・・・ムムム!!!右の口唇が左と比べ明らかにダラリと垂れ下がり、力も入りません!!!これが顔面神経麻痺のひとつである口唇麻痺の症状です。かつてかかっていたと思われる中耳炎によって口唇麻痺を後遺したのでしょう。うまく唇が動かせないため、濃厚飼料を食べても横からボロボロ・・・お水を飲んでも横からダラダラ・・・だから食べ方が汚かったんです。ただでさえ重度の発熱で発育不良になってしまったのに、追い討ちをかけるような摂食障害・・・もちろん食べてる量に見合うだけの成長は望めません(泣)

 今回で顔面神経麻痺の3症状はおしまいです。いよいよ次回が中耳炎症状各論の最終回「斜傾」についてです。

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