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松本大策のコラム
牛肉輸出の違う方面からの考え方

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2018年4月23日

 なかなか牛肉価格が上がってくれませんねぇ。というか、景気が悪いので(政府発表では伊弉諾(イザナギ)越えということですが、私たちの実感としてとても景気がいい感じはしませんよね。)、価格を上げたら消費者が離れていきます。

 それじゃ、輸出したらいいのでは?というと、正規の輸出には、2国間協議とか衛生基準の確認とか、いろんな障害が横たわってきます。

 そこで、少し輸出の考え方を変えてみてはいかがでしょう?といっても、こっそりハンドキャリーで持ち出すとかじゃありませんよ。
 輸出を、「海外の方に食べていただく」ととらえれば、今空前の日本旅行ブームですから、「日本に来ている外国の方に食べていただくのも輸出の一部だ」と考え方を変えてはいかがでしょう。

 これには、本来の輸出に比べていくつかメリットがあります。それは、輸出品を買う外国人は、日常の中で購入するけれど、旅行に来ている外国人は「日本旅行」という非日常の中で、牛肉を食べることになるわけです。生肉よりも外食になると思いますので、流通の工夫は必要だと思いますが、「日常」と「非日常」での違いは、「興奮状態」です。みなさんも、旅行に出てお土産や記念に「謎の三角の旗(ペナント)」を買ったことがあるでしょ?あるいは、なんか地名の書いてある提灯! あれってうちに帰り着いてから「俺、何でこんなもの買ったんだろ?」って思ったことありません?
 あれと一緒で、旅行者は一種の興奮状態にあるので、「特別な体験」として「和牛を楽しむ」コースをツアーに組み込んでいき、それもきちんとした対価を請求しても、日本にまで旅行に来るほどのセレブですから、少々お高くても全然かまいません。
 とくに日本では高級部位の売れ行きがよくないので、そこを軸に商品を組み立てれば、一挙両得です。

 最近では、海外からの方も「爆買い」から「体験型」へと指向が変化しています。日本は四季の国です。それぞれの季節の素晴らしさと一緒に、季節に応じた和牛をたくさん食べていただく、そういうツアーを海外の旅行会社に斡旋してもらってはどうでしょうか?マージンを払っても必ず得になると思いますよ。というか、旅行会社だけが得するようなことがないように、みんなで得になるようなツアーを一緒に組み立てないといけませんね。

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