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松本大策のコラム
鼻血のお話し

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2018年2月23日

 みなさんのところの牛さんも、時には鼻血を出していることがあるでしょ?やはり心配になりますよね。そういうときは、まず片方の鼻からなのか、両方の鼻の穴から出ているのか、を確認してみましょう。
 片方の鼻の穴から出ているときは、鼻梁(牛さんの顔の鼻筋の通ったとこ:写真1)か角をぶつけたことによる出血が多いです。とくに鼻血の出ている側の角が折れてグラグラしていないか握って確かめてみましょう。角が根元から折れている場合は、獣医さんに断角した方がよいか、そのまま固まるのを待った方がよいか、確認してもらいましょう。出血を止めるのは、鼻血の出ている側の角から鼻梁を氷で冷やすと意外と止まってくれます。角が折れている場合は、鼻の奥の副鼻腔にたまっている血液がそこから両方の鼻の穴に出てくるときもありますから、両方だからといって、角が折れていることを否定することは出来ません。角がグラグラしないかは確かめておきましょう。


写真1

 それから、他のものが出ていないか?も確認してください。写真2のように膿みたいなものが出ているときは「肥厚性鼻炎」といって鼻腔の粘膜が腫れて炎症を起こしている場合が多いです。この場合は、出荷規制の短いβラクタム系(ペニシリンの仲間:結晶ペニシリンとかビクシリン、インタゲンなど)とデキサメサゾンを注射し、鼻の穴の中をペニシリン1滴とデキサメサゾン1滴を混ぜた50mlくらいのぬるま湯で2~3日洗ってみてください。大半はこれで治ります。人工授精の時に使うシース管を注射器の先に付けて(ぴったしはまるんです)洗うと洗いやすいです。


写真2

 注意が必要なのは、両方からどす黒い血が出ていて、目も充血し熱がある場合です。この場合、タチの悪い敗血症が疑われるので、必ず獣医さんに診ていただきましょう。

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