2017年12月22日 ◎ご質問・ご相談コーナーへご投稿をいただいた質問と回答の内容をご紹介いたします。 ご相談内容 黒毛和牛の繁殖を行っています。規模は母牛で50頭ほどです。 5日ほど前から、生後3ヶ月目の子牛が食事をとらなくなりました。水も飲みません。獣医師に診てもらったところ、腸が動いていないとのことでした。ブトウ糖、リンゲル、ミコチルを処方してもらいました。その後、流動パラフィンを処方してもらい、朝夕2回に25mlずつ合計50ml飲ませていますが、症状が重くなる一方です。 昨日の朝(4日目)にガストリンを処方した際には少し症状が改善したように見えました。現在の症状は、体力的に限界なのか立ち上がることもままなりません。舌を出して息が苦しそうで、一呼吸するにもやっとという感じです。 不思議なのは、食事をとらないのにも関わらず、お腹が張っているというのでしょうか、兎角、激やせということはありません。全体的に、特にお尻の方は衰えているように見えます。 回答 子牛が弱るのはつらいですね。その子牛は、雄ですか?それとも雌でしょうか?便やオシッコは出ていますか? 症状から疑われるのは、迷走神経性消化不良、各胃袋の食滞、腸捻転(第4胃も含みます)、それから尿石症です。 迷走神経性消化不良や第4胃食滞は、診断が付けづらいのですが、徐脈(脈拍が低下する)が見られることが多く、この病気が疑われる場合は迷走神経刺激薬や抗ヒスタミン剤が使用されます。 尿石症は、子牛でも出ますし、極端なことを言うと哺育子牛でも発生します。この場合、手術して膀胱に空いた穴をふさぎ、尿道から石を取り除く必要がありますし、注射で「タンパク同化ホルモン」を打つとその後の状態がよいことが多いです。 血液検査でNa、K、ClとBUNという項目を獣医さんに測定していただいてはいかがでしょうか。また、お腹に針を刺して、オシッコが漏れてこないかを調べるのも手っ取り早いです。 (◎後日談:この農場の子牛は迷走神経性消化不良の疑いで処置され、無事回復したそうです。) 前の記事 質問箱から(その7)~子牛の仮死産~ | 次の記事 質問箱から(その9)~生理的貧血予防に対する鉄剤投与について~ |