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戸田克樹のコラム
第162話「身近な解熱鎮痛剤⑧」

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2017年11月21日

デキサはどういう使い方がよいのでしょうか。農場や診療所によって治療方針はさまざまですので、あくまでも私個人の考え方ですが、「デキサはなるべく使用しない」という考え方を基本としています。

熱があっても元気はある
牛さんの生命力・活力が十分にあると判断できればまずは抗生剤のみの投与で勝負するのが基本です。もしくは「ピリン系の解熱剤」でまろやかに解熱を促すのもいいですね。このピリン系解熱剤は熱のもとを叩くことはないので、抗生物質が効いていない場合、熱は全然下がりません。抗生物質が病原体を叩けているかどうかの判断は、これで十分にできるというわけです。(ピリンって何?っていう話はまた次回)


(熱があっても、こんなかわいい顔をしていれば抗生剤だけの投与で勝負しています)

症状が改善していれば翌日もその抗生物質をまた打てばよいですし、熱が下がっていない、もしくは上がってしまった場合は別な薬剤を選択すればよいでしょう。

ただし、「熱が41℃を超えている」、「明らかにぐったりしていて意識がもうろう」、「脱水があまりにもひどい」など、治療牛が生命の危機に瀕している場合はデキサの使用はむしろ推奨されます。


こ、これは…問答無用でデキサメサゾンを投与します。

「効果のある抗生物質の見極め<牛の命」です。

たいていの場合、デキサの投与で翌日には熱がさがって元気ピンピンになっているでしょうから、そこで改めてデキサを切って、投与した抗生剤の反応をみればいいのではないでしょうか。

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