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笹崎直哉のコラム
繁殖母牛の栄養管理について ~ルーメンのチェック~

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2017年8月22日

 私は、繁殖用に飼われるお母さん牛が、群で飼われている場合1頭1頭の粗飼料の採食量(実際に食べている量)が充分なのか否か判断がつかないときがどうしても出てくるのではないかと思うのです。ここでチェックすべきは「THE ルーメン」。

 私は診療の際は、しっかりと粗飼料を摂取しているかどうか、消化不良を起こしていないだろうかチェックするために、牛さんの左側にある「膁部」と呼ばれるところ(腰角と肋骨の間の三角になっている部分)の観察と触診を積極的に行っています(もちろん聴診もしますよ)。実はこの部位は、牛さんのルーメンを直接触れることでき(正確には皮膚を介してルーメン壁の触知ができるということですが)、粗飼料をしっかりと食べているかどうかの指標になってくれるのです。

 実際に先ほどの「左膁部」がしっかりと膨満していて、手で触れて下方に押し込んでみてもズッシリとした低反発粘土のような感触だった場合、「しっかり粗飼料食べている」と評価することができます。

 それに対して「左膁部」が沈んで凹んでいたり、触ってみても何も抵抗感が無く、空気を押しているような感覚になった場合「おや、粗飼料食べていないじゃないか」ということになるのです。もしこのようなときは熱があるかどうか、下痢をしていないかなど牛さんの全身状態をチェックしたり、粗飼料を良質なものに変えてみたりといった対策が必要になってきます。是非ともチェックしてみてください。

つづく

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