2017年8月21日 繁殖農家のみなさんには、釈迦の耳に念仏かもしれませんが、今回はお産のお話しです。 みなさんは、お産の準備、どうしていますか?お母さん牛がそわそわしてきて(あるいは牛温恵などで分娩時期を特定して)、一次破水が始まったらバケツやロープなどを用意し、二次破水を待つ、というのが一般的なケースだと思います。 ここで大切なのは、一次破水、二次破水、というのは出てくる順番ではない!ということです。通常は順序正しく一次破水、二次破水の順番に出てくるのですが(写真1,2)、時には、出てくる順番が逆のお母さん牛もいますし、一次破水と二次破水が同じ、という珍しいタイプもあります(写真3)。 まず、一次破水と二次破水というのは何なのか?そこを確認しておきましょうね。胎児は、羊膜と尿膜という二重の袋に包まれていて(図)、外側の尿膜の中には子牛のオシッコがたまっていますし、内側の羊膜の中は、羊水で満たされて胎児を保護しています。 通常は、胎児のオシッコを溜めている「尿膜」から出てくるのですが、図をよく見てみてください。尿膜の一部では、羊膜を覆っていない部分があるのです。この部分が産道の出口に向いていたら、二次破水が先行して起こります。また、この尿膜と尿膜に覆われていない羊膜の境目が産道に向いていたら、同時に出てくるという珍しいケースになるわけです。 正常胎児のお産は介助をしくじらない限り、病気ではないのでたいていは助かります。まれに胎盤早期剥離といって、お産が始まる前に胎盤がはがれてしまい、子牛が死んでしまうこともありますが、こちらは人間でも起こり、その原因はまだ分かっていません。 しかし、一次破水と二次破水を間違えず、二次破水後はしっかり気をつけておくことで、たいていは母子ともに正常な分娩になります。 前の記事 外部寄生虫もバカにできないよ!(写真大盛り!!) | 次の記事 お尻から腸が出てきた! |