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ゲストのコラム
「牛から視たエサの話−44 「(番外) バイオセキュリティーを目指して」」

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2010年8月31日

※はじめに
この原稿は6月21日にいただいていたものですが、都合により掲載日が大変遅くなってしまいました。心よりお詫び申し上げます(竹添)。

 宮崎での口蹄疫発生後消毒薬が不足したり、消石灰がなくなったりと畜舎周辺の防除に苦労されている方が多いと思います。また雨などによりその効果もなくなってしましますので、雨での対処も大変です。

 6月にエコマテリアル・フォーラムのシンポジウムがあり参加しました。そこで、新しい技術として、家畜糞をセラミックにして鳥のインフルエンザウイルスに対する効果について発表がありました。この話題は、昨年から知っており、その関係する会議にオブザバーで出たこともあるのですが、改めて家畜糞から作ったセラミックでのウイルス不活化効果結果から、畜舎での利用方法を検討することにしました。その理由は、消石灰と異なる点は、雨にぬれても効果が落ちていないことと、有機物の接触があっても効果があることです。まだ実験室レベルですが、早く現場での効果確認をして実用化できればよいのですが、1つはセラミックにするための設備が必要ですので、従来の消石灰よりもコストが高くなることが問題です。

 現在の具体的には、コンクリートなどに一定割合混合するとか、コーティング剤として畜舎に吹きつけるなどを検討しています。この研究は、東京農工大学の竹原先生(4月まで北里大学)が行われているもので主に鶏関係の学会で発表されているので、詳しいことはそれらの論文を読まれると良いと思います。今回の口蹄疫でも一部畜舎などで使われたそうですが、そこではワクチン接種になってしまったそうです。

 もう1つは、青森県産業技術センターの岡部先生のウッドセラミックです。これは、木材をフェノール樹脂を含浸させて処理するもので、非常に多孔質炭素素材です。これを材料にいろいろな製品開発されていますが、このウッドセラミックをナノレベルまで細かくして利用できるようになったことでその用途が非常に広がってきています。これも多孔質により消臭効果などもありますが、このセラミックを製造するときに木酢液が取れます。この木酢液の抗菌作用と合わせて畜産環境に使えないかと考えています。
 ウッドセラミックは、ラボレベルでの確認する必要がありますが、天然素材ですので上手に利用できれば環境にもよいのではないでしょうかねえー!

(著:東京都 村田六蔵)

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