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松本大策のコラム
肝膿瘍という病気と「動物はちくわなのだ!」のお話 その1

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2017年6月30日

 みなさんは肝膿瘍という病名をお聞きになったことがありますか?国家試験などではメジャーな病気なのですが、意外なことにこれまで『肝膿瘍』のお話を詳しく書いたことがありませんでした(これだけ毎週コラム書いてるとネタ切れで困って必死なのです)。

 肝膿瘍というのは、写真のように肝臓に大小様々な膿の塊ができる病気です。(これを膿瘍と言います。牛さんのあご腫れとか、肺膿瘍なども同じように膿の塊を結合組織というもので包み込んで健康組織から隔離しているのですね。)

 一見肝臓の病気のようですが(いや、確かに肝臓の病気なのですが...)、その原因は、第一胃粘膜に異常が生じることなのです。簡単に言えば、「第一胃粘膜にフケができる」という感じでしょうか。ま、ざっくり言えば、粘膜が荒れてそこからバイ菌(フソバクテリウム・ネクロフォーラムという菌です。特に覚える必要もありませんよw)が侵入し、普段は第一胃粘膜で吸収した栄養(お酢の仲間で揮発性脂肪酸と言います)を肝臓に運ぶ『門脈』という血管に入り込んで肝臓まで運ばれ、肝臓の毛細血管にバイ菌が引っかかって、そこで膿瘍を作るのです。

 さきほど「第一胃粘膜にフケができる」というお話をしましたが、実はフケは頭だけでなく全身いたるところの表面の細胞(上皮細胞と言います)に起こります。ここで、テーマの二つ目、『動物はちくわなのだ!』のお話になるのですが、ちくわって筒状ですよね?あの穴の中は『中』でしょうか?それとも『外』でしょうか?同じ外界の空気に触れている点から考えると、ちくわの穴の中も『外』ですよね?で、ちくわの穴の中も『表面』です。人間や動物を考えてみてください。ちくわの穴が、少し複雑になって袋になって胃袋を作り、ぐるぐる巻いて小腸になって、最後に一巻きして大腸になって肛門に出ます。だから簡単に言えば、動物の消化管の中も、『外の世界』で、基本的にちくわと変わらないのです。
(続きはウェブで、ってこれウェブじゃん!ということで次回に続きます。ネタがないから引っ張るよー。)

つづく

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