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戸田克樹のコラム
第140話「困ったときのリカバリー Episode ⑦-効果検証編-」

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2017年6月14日

5日間連日実施した点滴の効果なのか、食欲だけはなんとか回復した治療牛でしたが、
それでも血液検査の数値は

γ-GT(U/L):150→177
AST (U/L):3730→847

と、肝マーカーの数値は異常に高い状態でした。

この牛さんに対して毎日100gのリカバリーMを朝と夕方の2回、配合飼料に振りかけてもらうプランを立てました(給与量については松本コラム2016年1月4日参照)。
※まれにリカバリーMの添加で食いつきが悪くなる牛さんもいます。その場合は飼料とよく混ぜてあげてください。また、少な目の給与量から初めて徐々に増やしていくのもいいですね。

最初はにおいをかぐだけで「フンっ!」と下がってしまった牛さんでしたが、混ぜてあげれば食べるようになりました。注射薬の投与も中止し、リカバリーMの給与のみを20日間継続しました。

不安もありましたが、この間食欲不振に再び陥ることもなくあっという間に20日間が経過しました。

そして、20日後の再々血検の結果…

γ-GT(U/L):150→177→50

AST (U/L):3730→847→65

結果が出ました!
食欲も旺盛なままです。
この日から配合飼料の増給を開始し、時間をかけて元の給与量に戻してもらいました。
ただ、リカバリーMはまだ給与継続です。
数値は改善したとはいえ、まだγ-GTは基準値より高い状態でしたし、給与をやめたときに悪化する懸念もありましたから。

~その後~
この牛さんは再度治療されることもなく、予定通りの出荷日を迎えました。結果はまさかのA5の10番。廃用出荷を検討した牛さんとは思えない結果に農家さんともニッコリでした。

めでたし。

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