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笹崎直哉のコラム
Strategy(3)~貧血~

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2017年5月16日

 皆様お疲れ様です。5月の第2日曜日は母の日でしたが、皆様はお母様に何か特別なことをされたでしょうか。ある農家さんでは母の行きたいところに連れていってあげるという方もいましたし、料理を作ってあげる、または電話だけするという方がいました。私は毎年プレゼントを贈るようにしているのですが、今回は何も特別なものを思いつくことができず、ありきたりなブリザーブドフラワーを送ってしまいました。なにをすれば一番喜んでもらえるか、すご~く難しいですよね。力を入れ過ぎると、かえって気を遣わせてしまい心配されるというオチが待っているなんてこともありました。いや~難儀です。永遠の課題ですね。

 今回から貧血の分類に入って行こうと思います。まず紹介するのは①赤血球の喪失による貧血についてです。これはすなわち外傷によって起こる「出血」が引き金になるとイメージしてもらえれば大丈夫です。私が1年間の臨床現場で経験した「出血」による貧血を呈した症例はいくつかありますが代表的なものとしては、初産のお母さん牛の難産介助での1例です。

 写真からご存知のように、過大子を経腟で娩出させた際にお母さんの産動を大きく傷付けてしまい、出血を招いてしまいました。外陰部の粘膜は血色が無く、真っ白であることが分かると思います。このような出血の程度が大きい症例の血液を採取し、染色処理を行った後、顕微鏡で覗いてみると大きな赤血球と小さな赤血球が混在している像が確認できるのです(大小不同像といいます)。ちなみに健康な牛さんの血液を先ほどのように処理して顕微鏡で見てみると、このようになります。

ご覧のように赤色~ピンク色に染まっているのが赤血球なのですが、みんな同じようなサイズですよね。しかし今回のような貧血になるとこれまたビックリなのですが、サイズがバラバラで色素の薄い赤血球がこれでもかというくらいに出現してくるのです。これを獣医さんは形態的な分類方法で「大球性低色素性の貧血だね」と分類するのですが、、、なんだか難しい言葉になってしまいしました(´;ω;`)でもなんとなく言葉の所以は分かってもらえたのではと思います、、、(汗)。

 次回もどんどん話を進めていきますよ~!(^^)!

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