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松本大策のコラム
起立不能のお話 その1

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2017年5月8日

 みなさん、季節の変わり目ですがいかがお過ごしでしょうか。出張中にコラムを飛ばしてしまった松本です(ごめんなさい反省してます)。

 というわけで(どういうわけだ?)、今回は起立不能のお話です。
 みなさんは起立不能の牛さんでは、どういう診断をつけていきますか?考えられる可能性を一つずつ潰していって、最終的に考えられる状態(病名というか症状(専門的には症候名といいます))を付けるわけですが、どの症状も見落としてはいけないので、一つ一つ挙げていきましょう。

 まず、しっぽの力(尾力といいます)が正常にあるか?
これは背骨や背骨の中の脊髄神経を損傷していないかを見ています。この神経が損傷を受けると、傷んだ場所次第で尾力が消失したり(つまりぐにゃぐにゃになるわけです)、逆に尾力が通常よりも強くなる場合もあります。

 それから、四肢の指の間(指間腐乱の起こるところです)を鉗子などでつまんで痛がるか。
これも、各脚への神経が損傷していないかを診ます。あと、眼の動きも重要です。眼が前後にキュンキュン動くような場合(眼球振盪といいます)がないかどうか。
これは脳神経系の神経症状で、最近は少なくなってきましたが、ヘモフィルス症(今は正確にはヒストフィルス・ソムニ症といいます。ばい菌の名前が変わっちゃったんですね。)などでよく見られます。
最近はワクチンでヘモフィルスが減ったのですが、僕らが若い頃に診ていたような、典型的な強直性痙攣とか首を後方へバタンバタンと倒す姿勢などの症状が診られないものも多く、診断が難しくなってきています。

 話が長くなりそうなので続きはウェブで、じゃなくて来週!

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