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笹崎直哉のコラム
Strategy(1)~貧血~

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2017年4月25日

 皆様お疲れ様です。先日、診療で車を走らせていると、とある道中で初めての光景に出会ってしまいまして、思わず車を停めてしまったのです。大したことではないのですし、恐らく多くの農家さんが日常で欠かさず行っていることだと思いますが、、、

そうです。ラッピングマシーンです。実はこれまた恥かしながら、私はラッピング作業に立ち会ったことがなかったのです。なので華麗に、且つ円滑にラッピングされていく牧草を目の当たりにして、只々感動しておりました(笑)。「牧草をサイレージ化するためには嫌気性菌による発酵が不可欠である」というのを大学時代に学んでいましたが、このように粘着性が高く、強度の強いラップ素材であれば、確かに牧草の腐敗は未然に防げるし、発酵も順調にしていくだろうなと改めて現場で感じました。

 さて今回のコラムでは「貧血」について紹介させていただきます。なぜ急に貧血をテーマに選んだかというと、、、そうです、私自身、最近貧血の牛さんによく出会っているからです。一言に貧血といっても、診断を下すうえでさまざまな分類が存在し、我々獣医師の頭を悩ませております(泣)。

一般的に「血液中の赤血球数の減少、血液中に占める赤血球の体積の割合(ヘマトクリット値)の減少」を貧血と定義づけられています。
ではどのようなときに赤血球数が減少するのでしょうか。考えられるのは主に3つです。

①赤血球が破れて溶けてしまったとき(溶血)
②出血をしたとき
③赤血球そのものの産生が障害されてしまったとき

このような状態に陥ったとき、動物は元気喪失、沈うつ、可視粘膜(外陰部、口腔内、眼粘膜が当てはまります)の蒼白、呼吸促迫(酸素運搬能力が低下しているため)、発熱(感染が成立しているとき)、黄疸と赤から黒褐色を呈した尿(溶血が原因の貧血のケース)を排出します。

つづく

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