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椎葉絢香のコラム
割り込み~早産!23kg子牛!~

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2016年11月25日

 飼料設計コラムの途中ではありますが、先日とても衝撃的な出来事を経験したので皆さんにも紹介したいと思います。

 『先生~、すぐ来て!早産の牛が死にそう!!』と電話をもらったのが、片道40分の往診距離の農家さん。『すぐ行きますので毛布でくるんで、温かくして皮下点滴してみてください!』と伝えて行ってみると…。

 なんと!(゚Д゚;)目も開いておらず、わ~~~(゜.゜)っと目が点になるくらいのウルトラおチビちゃんの“もじょか牛(鹿児島弁で可愛い)”です!本当に、人間でいう“未熟児”で何日かは保育器に入らなければいけないレベルです。

 分娩予定日よりも約1ヶ月早く産まれたようで、体重を計ったところ23kgしかありません。1ヶ月早産で産まれた子牛は、産まれた時点で息をしている確率は50%と言われています。気温や産まれ落ちた場所、農家さんが気づくタイミングなども含めれば生存率はかなり低くなります。まさに“奇跡の牛”です!!

 1.8Lの哺乳瓶の3本分しかありません。農家さんは、電話とは違って…『先生、これは助からんだろうねぇ。』と弱気です。体温が37℃台に入っているもののモニョモニョと動きスース―と息をしています。必死に生きようとしている奇跡の牛をなんとか助けたいと思い『私に治療させてください!助からなかったらお金はいらないですので!!』と了承をもらい治療することになりました。(社長勝手なことを言ってしまい、すみません(笑))

 早産で産まれた子牛は、基本的に臓器が未熟の場合がほとんどなので、胃や腸も完全に動かないことも考えられます。なので、点滴で栄養を入れることが必須です。体重200kgの子牛と体重30kgの牛に冷たい点滴1Lする時は体温の下がり方が違いますので温めるようにしてくださいね!これから寒くなってくるのでなおさらです!

 さぁ、23kgの子牛は助かるのでしょうか!!つづく・・・(*´▽`*)

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