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ゲストのコラム
「牛から視たエサの話−10 「放牧しようか おまけ」 (東京都 村田六蔵)」

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2008年3月18日

 乳牛での試験ですが、1日中放牧するのではなく、半日(午前9時から午後4時くらいまで)放牧させて、乳中の成分を調べると、ビタミンA、Eは放牧をしていない乳よりも高くなります。これは、牛乳を見ると一目瞭然で黄色になってきています。まさに天然モノのビタミン剤になります。これで、放牧している牛乳で作る乳製品は、色が黄色がかったヨーグルトやチーズが出来ますから、いわゆる夏時期のものは非常に貴重なものであります。
 しかし、あるところでは、ヨーグルトの表面が黄色になっていることを「売り」にしているのですが、実際は放牧するのではなく配合飼料にビタミンAを多く入れて牛乳に反映させているものもあります。確かに表面の黄色はビタミンですが、合成物ではその価値がないでしょうね!(この商品は最近売れていないようですー当たり前だ!)
 このことで、思い出したのは肥育牛でも人工のビタミンAを投与するのと、自然のビタミン(青草や乾草でも緑色のもの)を含むものを投与するのでは、反応が違っています。合成物では、やりすぎるとマイナスの反応がでますが、乾草などではあまりそのようなことはないようです。育成牛でも、ビタミン剤を予防で投与していると、肥育にはマイナスになってしまうことが多いのですが、放牧などしている場合では、以外と肥育成績がよくなることがあります。やはり自然が一番なのかも知れませんね。
 ところで、このおまけの話は、放牧した繁殖の母さん牛のは、抗菌性のタンパク質が乳中に多くなるので、このような場合には早期離乳はもったいないと思いませんか?自然のビタミンと抗菌性物質を取り込み出来るのですから、丈夫な子牛になると思いますよね!
 特に、初乳が終わっても、1週間から10日間はこれらの成分が乳中に多いので、腸管内での雑菌の繁殖を押さえ込むことが出来ますので、放牧したら少し親子の絆を作らせることも考えて見ましょうね。
(つづく)
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