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蓮沼浩のコラム
第454話:見えないものを見る

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2016年11月17日

 先日、小生の所属する獣医師会の臨時総会後の懇親会でダンスをしました。笹崎獣医師監修の元、共済の久林獣医師と三人で「SKコーポレーション」というチームを結成。結婚式以外で久しぶりに余興をやることができたのでよかったですね~。もちろん小生、ダンスはド素人です。

 最近は肉用牛の繁殖関係について連載を書いているのでとにかく、農家さんへ行けばもういろいろな話を聞いたり、母牛の状態を観察したり、病気の状態を把握したり今まで以上にいろいろと楽しく興味を持って牧場を見させもらっています。つくづく肉用牛の世界はいろいろな管理方法があり、面白いですね。そんな中でとにかく小生が注意していることがあります。それは、それぞれの農家さんは牛さんを飼うという事以外に本当に多くのことを背負っているということを忘れないことです。

 獣医さんや技術員さんなどは色々と勉強をしています。そして成功して、うまくいって、しっかりしているすばらしい優良事例も知っています。だから目の前の牧場の状態を見ると、ついつい優良事例と比較してしまい「これはダメでしょ~~~」と思うことも多々あります。そして、すぐさまこれはダメだから変えないといけませんなど正論を振りかざしてしまいがちです。でも、自分の見方が正しいと思ってしまう時は要注意だと思います。

 その前にそこの農家さんや農場の方の気持ちを考えてあげることができているだろうか?非常に大切なことです。本人さんもわかっているけど、どうしても出来ない理由も多々あります。労働力の問題、人間関係の問題、経済的な問題、家庭の問題、健康の問題、価値観の問題などなど、それこそ牛さんを飼うという仕事の裏には様々な見えない問題が山積しています。それらをどこまで理解してあげることが出来るか。いくら畜産学、獣医学的には正しいと言われていることでも、それを無理して実施してもらうことが本当にそこの牧場にとって正しいことなのか?そこの牧場にとってはトータルで見て何が大事なのか?非常に難しい問題です。簡単には答えの出ないことが多いですが、絶えず考えながら少しずつ前進していくしかなさそうです。とにかく、本当にいろいろあります。変なところから弾丸がピュンピュン飛んでくることもあります。時々弾丸が当たって心が折れそうになる時もあります。でもまあ、そう、匍匐前進(ホフクゼンシン)ですね!

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