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蓮沼浩のコラム
第453話:アイコンタクト

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2016年11月10日

 先日子供の授業参観に行ってきました。とにかく普段の職場とは全く違う世界なので、ちょっと戸惑ってしまいます。まさに異次元空間。それにしても学校の先生も大変だな~~~

 獣医さんはとにかく牛さん達に対して、いつも彼らが嫌がることばかりしています。ロープで捕まえたり、注射を刺したり、去勢をしたり、直検をしたりなどなど。だから彼らは獣医さんがくると場合によってはもう姿を見ただけで暴れ出すときもあります。でも、よく考えたらそれは当たり前の事。彼らの身になって考えれば当然と言えば当然です。
 このような状況でとにかく小生が気を付けている事は、とにかく牛さんを怖がらせないようにして、獣医さんも牛さんも穏やかな状態ですべての処置を行う事です。これは院長の松本先生直伝なのですが、まず牛さんに声をかけ、そして相手の目を見て「大丈夫だよ~」と気持ちを送るのです。さすがに松本先生みたいに牛さんとおしゃべりしちゃうレベルには到達していませんが、できるだけ声をかけて近づき、目を見て心で安心させます。多くの方は「そんなのウソくせー!」と思うかもしれません。でも、実際にそのようにした方が小生の実感としては明らかに牛さんがおとなしくなり、処置がしやすい気がしています。もちろんすべてがうまくいくわけではないですが・・・・。

 たとえば肥育牛に血管注射をする時。まずしっかりと駆血して血管を浮かせながら「は~い、大丈夫だよ~」などと声をかけます。そして、牛さんの目を見ながら心の中で「注射を打つけどいいかい?痛くないようにするからね~」と話しかけます。すると、牛さんは目をパチクリさせます。一応、これが相手のオッケーのサインです。そしてその後にゆっくりと丁寧に注射をすると、あら不思議!あんなに嫌がっていたのにおとなしくしていてくれるじゃないですか!

 実はこのアイコンタクト、毎日の飼養管理でも威力を発揮します。小生が巡回する農家さんで非常にレベルの高い方が、「いつも牛の目を見ていますよ。何か気になる時は必ず目を見て大丈夫?と質問すると、大丈夫なときは目をパチクリして大丈夫だよと返事をくれるんですよ」と楽しそうにお話ししてくれました。小生はその方の言っていることは非常によくわかります。
 何だか科学的ではないお話になってしまいましたが、興味のある方は是非実践してみてくださいね。

「目は口ほどにものを言う」でござる。

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